一言まとめ
2026 年 10 月 28 日深夜、ムーア・スレッズは第 3 四半期決算を開示:売上 15.52 億元・前年比 +1773.92% で単四半期黒字化し、黒字化時期は会社想定を大幅前倒し。FY2027 Q2 のデータセンター収益 890.23 億ドルの NVIDIA に対し、売上規模は約 60 分の 1 にとどまり、在庫積み増し・キャッシュ投入の段階にある。
比較概要
証券時報・上海証券報 2026 年 10 月 29 日の報道によると、10 月 28 日深夜、ムーア・スレッズ(688795.SH)は 2026 年第 3 四半期報告を開示した。Q3 の売上高は 15.52 億元、前年比 +1773.92%・前四半期比 +55.4% で四半期過去最高。親会社株主帰属当期純利益は 4926.04 万元、非経常損益控除後の親会社株主帰属当期純利益は 2007.24 万元で、いずれも前年同期から黒字転換した。一方、NVIDIA の FY2027 第 2 四半期(2026 年 7 月 26 日終了)のデータセンター収益は 890.23 億ドルに達した(上海証券報報道)。本稿は両社の直近四半期売上・成長率・収益状況・研究開発・製品ライン・キャッシュフローと在庫を比較し、中国製 AI 計算チップと世界的 GPU リーダーの規模格差を捉える。
比較表
| 比較次元 | ムーア・スレッズ | NVIDIA |
|---|---|---|
| 直近四半期の売上高 | 2026 年 Q3 売上 15.52 億元、前四半期比 +55.4%、四半期過去最高 | FY2027 Q2(2026 年 7 月 26 日終了)の総収益 962.21 億ドル、うちデータセンター収益 890.23 億ドル |
| 前年比成長率 | Q3 売上は前年比 +1773.92%。前年同期累計(1-9 月)売上 32.89 億元、前年比 +319.15% | FY2027 Q2 の総収益は前年比 +106%、データセンター収益は同 +117%。経営陣は FY2028 の売上が前年比約 70% 増の見通し |
| 収益状況(親会社株主帰属/非経常控除後) | Q3 の親会社株主帰属当期純利益 4926.04 万元、非経常損益控除後は 2007.24 万元、いずれも前年同期から黒字転換。従来の会社想定では最も早くても 2027 年の連結ベース黒字化だったが大幅前倒し。1-9 月累計の親会社株主帰属当期純利益 3769.73 万元は前年比黒字転換したが、非経常控除後は 1.31 億元の赤字 | 当研究範囲内で同期の利益率・利益額の開示値なし |
| 四半期の研究開発投入 | Q3 の研究開発投入 5.71 億元、前年比 +87.89%。1-9 月累計は 13.40 億元で、2025 年通期実績 13.05 億元を既に上回る | 当研究範囲内で該当する研究開発投入の数値の記載なし |
| フラッグシップ製品 | MTT S5000 を代表とする AI 計算製品が、大規模モデルの学習・推論に既に活用 | 当研究範囲内ではデータセンター GPU システム製品(GB200)を製品ラインの代表とする |
| 顧客とエコシステム提携 | 顧客はインターネット・クラウド事業者、AI モデル企業、通信事業者、AI 計算センターをカバー。京東クラウドと 10 万枚規模のフル機能 GPU クラスター構築で提携 | 当研究範囲内で具体的な顧客名簿の記載なし |
| キャッシュフローと在庫 | 1-9 月累計の営業活動キャッシュフロー純額は -33.09 億元。9 月末の在庫帳簿価額は 33.63 億元、年末比 20.31 億元増 | 当研究範囲内で該当するキャッシュフロー・在庫の数値の記載なし |
証拠と立場
ムーア・スレッズ公式の立場(同社第 3 四半期報告、証券時報・上海証券報 2026 年 10 月 29 日報道):Q3 売上高 15.52 億元、前年比 +1773.92%・前四半期比 +55.4% で四半期過去最高。Q3 の親会社株主帰属当期純利益 4926.04 万元、非経常損益控除後は 2007.24 万元で、いずれも前年同期から黒字転換。従来は最も早くても 2027 年の連結ベース黒字化を想定していたが大幅前倒し。1-9 月累計の売上 32.89 億元(前年比 +319.15%)、親会社株主帰属当期純利益 3769.73 万元は前年比黒字転換したが、非経常控除後は 1.31 億元の赤字。1-9 月累計の営業活動キャッシュフロー純額は -33.09 億元。9 月末の在庫帳簿価額は 33.63 億元(年末比 20.31 億元増)。Q3 の研究開発投入は 5.71 億元(前年比 +87.89%)、1-9 月累計 13.40 億元は 2025 年通期実績 13.05 億元を既に上回る。MTT S5000 を代表とする AI 計算製品は大規模モデルの学習・推論に活用され、顧客はインターネット・クラウド事業者、AI モデル企業、通信事業者、AI 計算センターをカバー。京東クラウドと 10 万枚規模のフル機能 GPU クラスター構築で提携。
NVIDIA 公式の立場(上海証券報報道):FY2027 Q2(2026 年 7 月 26 日終了)の総収益 962.21 億ドル・前年比 +106%。データセンター収益 890.23 億ドル・前年比 +117%。経営陣は FY2028 の売上が前年比約 70% 増の見通しを示した。
乖離の読み解き
第一に、成長率の基数が全く異なる。ムーア・スレッズ Q3 の前年比 +1773.92% は低基数からの爆発的成長(前年同期の売上は 1 億元規模未満)。NVIDIA のデータセンター +117% は 890.23 億ドルという規模の上での成長率であり、成長率の数字を並べて解釈できない。
第二に、黒字化の中身。ムーア・スレッズは Q3 に親会社株主帰属で 4926.04 万元、非経常控除後でも 2007.24 万元の黒字に転換したが、1-9 月累計の非経常控除後の親会社株主帰属当期純利益はなお 1.31 億元の赤字で、1-9 月累計の営業活動キャッシュフロー純額は -33.09 億元。黒字化は単四半期の売上放量によるもので、通期で非経常控除後が黒字化するかは今後の見極め待ち。
第三に、規模と在庫の意味。ムーア・スレッズの 9 月末在庫帳簿価額 33.63 億元は年末比 20.31 億元増で、四半期売上 15.52 億元に対し、その後の納入に備えた在庫の賭けとなっている。NVIDIA 側の同期の利益率・キャッシュフロー・在庫の数値は当研究範囲内で開示されておらず、両者の決算を項目ごとに対照できない。
